研究概要 |
1.本研究では、蛍光色素DiOC_6(3)とDAPIを用いて酵母ミトコンドリアとミトコンドリア核様体の二重染色を行い、このオルガネラの挙動を詳細に解析した。その結果、酵母Saccharomyces cerevisiaeの生活環の様々なステージでミトコンドリアの融合と断片化が起こっていることを明らかにした。 2.酵母ミトコンドリア核様体タンパク質のうち、分子量67kDaのDNA結合タンパク質に対するポリクローナル抗体を作製した。抗体作製は、核様体タンパク質をSDS電気泳動により分離後、タンパク質のバンドをゲルより切り出し、ウサギに免疫することで行った。この抗体は、単離核様体のイムノブロットで67kDaタンパク質のみに結合し、蛍光抗体法で単離核様体を染色した。嫌気培養条件から好気条件への切り替えにより、ミトコンドリア核様体においてこのタンパク質の量的変動が起こっていることをイムノブロット法で明かにした。 3.酵母ミンコンドリアDNAは、これまでそのほとんどが環状分子とされてきたが、調べた58種の酵母のうち13種の酵母が直鎖状分子を持っていることを、フランス・キュリー研究所との共同研究で明かにし、論文として公表した。 4.Williopsis,Pichia属数種の酵母からミトコンドリア核様体を単離して、核様体結合タンパク質を調べたところ、種によって核様体タンパク質の組成にかなり違いがあることが分かった。特に、線状ミトコンドリアDNAをもつPichia jadiniiについては詳しく調べ、ミトコンドリア核様体に含まれるDNA結合タンパク質の分子量が、S.cerevisiaeのそれと異なることを明らかにした。
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