研究概要 |
1.昨年度、蛍光色素(DiOC_6<3>とDAPIを用いて出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアとミトコンドリア核様体の二重染色を行い、このオルガネラの挙動を詳細に解析したが、本年度は分裂酵母についても観察を行い、生活環の様々なステージでミトコンドリアの融合と断片化が起こっていることを明らかにした。 S.cerevisiaeから単離したミトコンドリア核様体を様々な濃度のNaCl溶液で処理し、蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、核様体の解体と再構成は塩濃度0.2-0.4Mの間で可逆的に起こることが分かった。核様体形成に関与すると考えられるタンパク質のうち3種類についは、N末端から10個のアミノ酸配列を決定した。 Williopsis,Pichia,Saccharomyces属の9種の酵母からミトコンドリア核様体を単離することに成功した。単離したミトコンドリア核様体に含まれるタンパク質を調べたところ、種によってタンパク質組成、分子量にかなりの違いがあることが分かった。特に、ミトコンドリア核様体で最も塩基性の強いタンパク質の分子量(15 kDa-22 kDa)は種によって異なっていることがわかった。S.cerevisiaeミトコンドリア核様体の67 kDaタンパク質に対して作製されたポリクローナル抗体を用いて、他種酵母ミトコンドリア核様体タンパク質のWestern blotを行ったところ、1種の酵母を除いて、全く交差反応は見られなかった。このことからも、ミトコンドリア核様体構成タンパク質は、種によってかなり多様性に富んでいることが示唆された。
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