研究概要 |
1。昨年に続き、Pichia jadiniiをはじめPichia,Williopsis,Kluyveromyces,Saccharomyces属酵母からmt核様体を単離し、ミトコンドリア(mt)核様体を構成するタンパク質をS.cerevisiaeのmt核様体と比較した。電気泳動による比較とS.cerevisiae mt核様体の67kDaタンパク質に対する抗体を用いたイムノブロットの結果、酵母では属が同じであっても種が異なると、mt核様体タンパク質組成、分子量、抗原性にかなりの変化がみられることを明かにした。今後の課題としてさらに多くのmt核様体タンパク質に対する抗体を作製して、酵母をはじめ高等動植物におけるmt核様体タンパク質の多様性について調べる必要がある。 2。酵母栄養成長、胞子形成過程におけるミトコンドリアとmt核様体の動きのメカニズムを探るために、Rhodamine-phallo・din染色によりアクチンの細胞内分布との関連を調べた。その結果、栄養成長ではmt核様体の細胞内分布とアクチンの分布が一致している細胞は確かに認められたが、両者の分布が一致しない細胞もかなりみられ明確な関連は結論できなかった。これに対して、胞子形成過程では減数分裂前期にネットワーク状につながったmt核様体が観察されるが、このmt核様体と重なる位置、もしくは紐状mt核様体の末端にアクチン斑点が高頻度でみられることを明かにした。このことから、少なくとも胞子形成過程においてミトコンドリアの形態変化と分配にアクチンが関与していることが強く示唆された。
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