研究概要 |
白眼のショウジョウバエを、黄色コーンミール又はall-transレチナールあるいはβ-カロチンをレチノイド源として加えた培地で飼育し、これらのハエの頭部から抽出したall-trans及びll-cis形3-ヒドロキシレチナール(3-OH-RAL)の光学異性体組成を調べた。 1、コーンミール中のカロチノイド組成 黄色及び白色のコーンミールから脂容性物質を抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ、黄色コーンミールにはルテイン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチンが1:0.5:0.1の割合で含まれており、白色コーンミールにはルテインとゼアキサンチンがそれぞれ黄色コーンミールの約1%含まれていた。 2、ハエの3-OH-RAL異性体の光学異性体組成 (1)黄色コーンミール飼育:all-trans形3-OH-RALは(3R)体と(3S)体が混在しており、両方の対掌体の和に対する(3R)-対掌体の割合(3R-比)は0.15〜0.19であった。一方ll-cis形3-OH-RALはすべて(3S)体であった。 (2)all-transレチナール飼育:白色コーンミールにall-transレチナールを加えて飼育した場合、all-trans形3-OH-RALの3R-比は0.11〜0.15であったが、コーンミールを含まないイースト培地にall-trans形レチナールを加えた場合、生成したall-trans形3-OH-RALの3R-比は0.03と低く、ll-cis形3-OH-RALはすべて(3S)体であった。 (3)β-カロチン飼育:白色コーンミールにβカロチンを加えて飼育した場合、all-trans形3-OH-RALの3R-比は約0.5、ll-cis形3-OH-RALの3R-比は約0.2であったが、イースト培地に加えた場合,all-trans形3-OH-RALの3R-比は0.1として低く、ll-cis形3-OH-RALの3R-比は約0.08であった。
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