研究概要 |
種レベルの分類の再検討:キュー、ライデン、パリなど国外の主要なハーバリウムから標本を借用し、東京大学ほか国内に所蔵する標本とあわせて比較検討して、もっとも分類が困難と予想されるArisaema laminatumグループとA.filiformeグループを除く各種について特徴と識別点を明らかにし異名を整理した。この仕事はFLORA MALESIANA地域については終了したのでチェックリストを作成しFLORA MALESIANA担当者に送付した。この結果は近い将来Blumeaに掲載される予定である。 rbcL遺伝子の塩基配列の決定と比較:東京大学理学部附属植物園で裁培する生植物および科学研究費海外学術研究の現地調査などにより収集した生材料を用いて、フデボテンナンショウ節以外の各筋のうちTrisecta節をのぞく10節から1種づつ、フデボテンナンショウ節からA.filiforme,A.laminatum,A.inclusum,A.galetti,A.grapsospadix,A.prazeriの6種、外群としてPinellia ternataおよびTyphonium trilobatumより全DNAを抽出した。現在PCR法を用いてrbcL遺伝子を増幅した後、オートシークエンサーにより約500塩基対の塩基配列を決定する実験作業を継続中である。今年度中にフデボテンナンショウ節内については完了し、種間の予測的な系統樹が得られる予定であり、来年度はこれを仮説として材料を増やしていきたい。
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