研究概要 |
精子束形成に関する遺伝子群を探索するディファレンシャルスクリーニングの為の大量にEudorina elegansの雄株を培養して、精子束を発現させる実験系は今までに報告がなかったが、温度25℃の培養庫と大型フラスコの中で通気を行い、Nozaki et al.(Phycolohgia28: 252-267,1989)のPleodorinaの接合培地を用いる事によって確立した。この結果約20%の細胞が精子束に誘導された。系統解析のマーカーの遺伝子として、他の植物でよく用いられている葉緑体の遺伝子rbcLをPCR法及びサザンブロティングを用いた遺伝子クローニング法によって増幅する方法を確立した。また、今までの私の群体性オオヒゲマワリ目の生殖過程及び微細構造の研究から、オオヒゲマワリ科とゴニウム科に於ける系統関係のアウトラインを議論はしていたが、それをより、理論的な説得力があるものとして、PAUP3.0コンピュータープログラムを用いた分岐系統学的解析による系統樹を作成した。ここではアウトグループとしてChlamydomonas reinhardtiiを用い、合計41組みの形態的形質をオオヒゲマワリ科とゴニウム科の9属25種について解析した。分岐系統学的手法による形態的形質で群体性オオヒゲマワリ目の系統を推測した例はいままでになく、また、これほど多くの種を解析したものは群体性オオヒゲマワリ目の系統研究では初めての事である。その結果の厳密合意樹はオオヒゲマワリ科とゴニウム科の単系統性を支持した。また、それまでにゴニウム科に所属していたGonium socialeは上記の2科とは系統的に離れている事が解析され、新たにテトラバエナ科(Terabaenaceae)を設立した。
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