研究概要 |
本研究の目標は、高温超伝導体と長距離近接効果を示す絶縁層の積層薄膜を生成し、長距離近接効果と絶縁層の物性との相関を研究し、この膜の表面にニオブの針を接触させ、高温超伝導体より長距離近接層にしみだした超伝導電子とニオブの間を流れるジョセフソン電流の高速性を超高周波(サブミリ波)応答により研究するものである。 この研究においては、表面まで高品質な高温超伝導体薄膜の生成、高品質な絶縁層の生成が研究の鍵を握る。薄膜生成法としては、真空トンネル効果が観測されるほど高品質なY系高温超伝導体薄膜が報告されている唯一な方法であるエキシマレーザ蒸着法を採用した。エキシマレーザは共同利用設備として購入され、発振、レーザビーム系の調整等準備は終えた。薄膜生成用真空槽としては、既有の電子ビーム蒸着装置の改造を業者に発注したが、その完成が大幅に遅れたため、現在ようやく薄膜生成の予備実験を始めている段階である。 今後、高品質な高温超伝導体、絶縁層薄膜の生成法を解明し、超高周波応答の測定を始める。高温超伝導体薄膜としては、YBaCuOを中心とし、長距離近接層としては、LaCaMnO,PrBCuOを中心とする。また、超高周波応答の報告ないBi系高温超伝導体薄膜も生成し、点接触微動機構を改良し、超高周波応答の測定を目指す。長距離近接層としては、Bi系絶縁層を生成する。
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