研究概要 |
LB法を用いて,アラキン酸-TCNQのヘテロLB膜を作製し以下の様な成果を得た。 (1)ヘテロ構造LB膜の確認 電流スイッチング機構を解明するためには,分子レベルで平滑なヘテロ構造を作製する必要がある。分子レベルで平滑かどうかをAFMで評価した。その結果,アラキン酸,TCNQ両LB膜は極めて平滑であり,表面は1分子長以下の凸凹であることが明らかとなった。 (2)スイッチング特性 電流スイッチング特性とは,電圧の印加により電気抵抗が急激に減少する現象である。この現象は,アラキン酸-TCNQヘテロLB膜で生じることが見い出された。その現象を確認する為に次のことを検討した。 ○構成元素の検討 アラキン酸,TCNQ単体のLB膜を作製しスイッチング現象を検討した結果,アラキン酸単体のLB膜ではその現象は見られなかった。また,TCNQLB膜を作製するときに,Cdイオンを添加しないとスイッチング現象は見られなかった。従って,LB膜のスイッチング現象は,CdイオンとTCNQ膜の相互作用によって生じることが判明した。 現在その機構の理論的解釈を検討している。
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