研究課題/領域番号 |
05650005
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小門 宏 千葉大学, 工学部, 教授 (40016358)
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研究分担者 |
星野 勝義 千葉大学, 工学部, 助手 (50192737)
北村 孝司 千葉大学, 工学部, 助教授 (20009541)
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キーワード | 強誘電体 / ポリフッ化ビニリデン / 画像記録 / 焦電性 |
研究概要 |
平成5年度は、画像記録原理の理解に重点におかれ、関連して、試料に用いた強誘電体(フッ化ビニリデン/四フッ化エチレンの8:2共重合体)の物性測定を行った。得られた主な結果は次のとおりである。 1 ポーリング試料にフラッシュ書き込みを行うとき、熱により解分極が起こる割合は約20パーセントに過ぎない。この推定は、試料のコロナ帯電の動特性が試料中の分極の状態に依存することを利用してなされた。 2 ポーリング後、表面電位がOVになるまで放置した試料にフラッシュ露光を与えると、表面に分極双極子と同極性の電位が観測される。この電位は試料の厚さに比例し、数十Vの大きさでトナー現像のための電場として十分である。出現の原因については次のように考えている。コロナによりポーリングされた試料は、見かけ表面電位OVの状態において、分極双極子による電場は表面(および下部電極)上の束縛電荷による電場により補償されている。ところが、試料加熱時には焦電性により分極が減少するとともに電気伝導度が向上して表面の束縛電荷が漏洩する。そのため冷却して分極が旧に復したときにも、双極子の電場の一部は打ち消されずに表面電位として現れることになる。この効果が画像記録の主な原因である。 3 この成果に基づいて画像記録プロセスの最適化を行い、必要エネルギーとして約50mJ/cm^2(フラッシュ時間10ms)を得た。この際試料温度はほぼ70℃まで上昇した。この温度は別に測定したキュリー温度よりわずか低い。 これらの結果は10月に横浜で開催のThe 9th International Congress on Advances in Non-Impact Printing Technologiesにおいて発表し、Japanese Journal of Applied Physicsにも投稿中である。
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