減圧有機金属気相成長装置に四重極質量分析計をつけて、初めて窒素ソースとしてモノメチルヒドラジン(MMH)をとりあげ、まず、その反応過程を検討した。すなわち、MMH-トリメチルガリウム(TMG)ソースを60Torrの減圧下で、成長装置内のカーボンサセプタに供給し、室温から600℃の範囲で加熱し、生成ガスを四重極質量分析計にサンプリングして質量スペクトルを調べた。その結果、MMHは、約300℃から分解を始め、それより高温側でCH_3NHやNHやHCNが生成することが初めて明きらかとなり、さらに、GaNなどIII-V族窒化物の成長が約400℃の低温から行えることが分かった。 TMG-MMH系ソースを用いてGaAs基板上に基板温度やソースの供給比を変えて、成長圧力160Torrの下でGaNの成長を行った。トリエチルガリウム(TEG)-MMH系ソースとの比較も行った。 GaAs基板上にGaNは450℃の低温から成長した。TMG系で基板温度が550から650℃の成長で、GaN成長結晶はC軸配向の六方晶であるが、700℃と高温になるとC軸配向性が弱くなりで立方晶結晶との混在がみられた。TEG系では立方晶結晶の成長が顕著な成長条件も見られた。GaAs基板上にGaNやAlNバッファ層を成長し、引き続きGaNやAlGaNを成長した時に、六方晶結晶のみがC軸に配向成長することが見いだされ、単一結晶の成長にバッファ層が効果的であることが明きらかとなった。 成長層の抵抗は高く、成長層を二次イオン質量分析計で調べた結果、不純物として炭素や酸素、水素などが検出され、ソースや残留ガスから混入していると考えられる。
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