研究課題/領域番号 |
05650023
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 敏夫 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (90170513)
|
研究分担者 |
橋本 佳男 東京大学, 生産技術研究所, 学振特別研究員
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10183097)
生駒 俊明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80013118)
|
キーワード | ヘテロ接合 / ガリウム砒素 / アルミニウム砒素 / バンド不連続量 / 強結合法 / シリコン / 光電子分光法 / 面方位 |
研究概要 |
1)ヘテロ接合のバンド不連続量を理論予測するための自己無撞着な強結合法のプログラムを完成した。本プログラムではsp^3s^*基底の強結合法により電子構造と電子密度を求め、静電的ポテンシャルを自己無撞着に決定している。ヘテロ接合を繰り返して有する超格子構造に対して自己無撞着な計算を行うことが出来る。 2)本プログラムを用いてGaAs/AlAsヘテロ界面の価電子帯のバンド不連続量を計算し、(100)と(110)界面で0.51eV、(311)A界面で0.50eVの理論値を得た。この結果は、この系のバンド不連続量は、高指数面も含め面方位に依存しないことを示している。また、(311)A界面のバンド不連続量を光電子分光法により測定し、計算結果を支持する結果を得た。 3)さらに、GaAs/Si(2ML)/AlAs界面について価電子帯のバンド不連続量を理論計算し、(100)As界面で-1.36eV、(100)Ga界面で2.1eV、(110)界面で0.35eV、(311)A-As界面で-0.12eV、(311)A-Ga界面で1.67eVの理論値がそれぞれ得られた。Si2重層を界面に挿入することによりバンド不連続量を制御することが可能で、変化量は面方位と面の極性に大きく依存することが明かになった。特に、(311)A-GaAs上の結晶成長では、ドープされたSiは成長条件によりドナーにもアクセプターにも成り得るので、(311)A界面へのSi原子層挿入によるバンド不連続量の制御が有望である。 4)(100)界面で、Si2重層が3原子層に渡り再分布した場合、バンド不連続量の変化が小さくなることが計算より明かになった。実際の系でもSi原子層は2層以内にきちんと納まっておらず、それ以上に広がって、バンド不連続量の制御を妨げていると推測される。
|