研究課題/領域番号 |
05650025
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
筒井 一生 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60188589)
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研究分担者 |
古川 静二郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60016318)
川崎 宏治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10234056)
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キーワード | イオン性度 / ヘテロ界面 / フッ化物 / 半導体 / エピタキシャル成長 / ZnSe / SrF_2 |
研究概要 |
イオン性結晶と共有結合性が強い半導体結晶のヘテロ界面に、このイオン性の極端な違いを緩和するイオン性度制御層を導入することで良好なヘテロ界面を実現することを目的として、今年度は、ヘテロエピタキシーにおいて材料のイオン性度の違いとエピタキシャル成長特性の関係を明かにすることを主に行った。 II-VI族化合物半導体のZnSe(イオン性度:0.6)の(100)面上に、イオン性結晶であるSrF2(イオン性度:0.9)を分子線エピタキシー法でエピタキシャル成長させ、成長層の結晶性をHeの高速イオン後方散乱法を用いて評価し、エピタキシャル成長に必要な最低基板温度(エピタキシャル温度)を調べた結果、350℃で成長可能なことがわかった。このエピタキシャル温度は、GaAs(イオン性度:0.3)およびSi(イオン性度:0)上の同様な弗化物結晶のエピタキシャル温度である400℃および450℃より低いことから、基板とエピタキシャル層のイオン性度の差が小さいほどエピタキシャル温度が低くなる関係が明らかになった。この結果は、イオン性度の差が小さい方が、ヘテロ界面での原子配列を決定する相互作用が強く働くことを示していると考えられ、イオン性度制御層の有効性を示唆するものである。また、弗化物上への半導体の成長に関しては、弗化物表面に従来のV族元素の代わりにVI族元素を吸着させる実験系を準備中である。この実験に先だって、吸着状態を複数方向からの表面光吸収測定でその場観察法を開発した。次年度はこの手法も用いて実験を進め、イオン性度の差とヘテロ界面の結合様式の関係について知見を深めイオン性度制御層の可能性を明きらかにして行く予定である。
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