本研究では、特に大きな光誘起屈折率変化が現れるエルビウムドープ光ファイバに着目し、これを利用した非線形光ファイバスイッチングの実現を目指した。 まず、エルビウムドープ光ファイバで生じる光誘起屈折率変化のメカニズムと特性の解明に関して、屈折率変化はエルビウムイオンの遷移吸収に起因することが明らかとなり、クラマースクロニッヒの関係を用いた理論的な予測とよく一致した。屈折率変化は、波長514.5nmの導波光において通常のシリカファイバに比べ5〜6桁大きく、変化の応答速度はミリ秒のオーダーであった。また、吸収の飽和特性を反映し屈折率変化も導波光強度数ミリワットで飽和した。 次に、エルビウムドープファイバを用いて研磨法で光ファイバカプラを作製し非線形カプリング特性を調べた結果、導波光強度に依存したカプリング変化が現れ、屈折率変化が飽和する導波光強度に対し約20%のカプリング変化が得られた。さらに、この非線形カプリングの偏光依存性、及び、カプラの初期設定への依存性を明らかにした。また、これらの非線形カプリングについて、非線形結合モード方程式を導き理論解析した結果、理論的には導波光強度に依存した屈折率変化にともない100%のカプリング変化の生じることを明らかにした。 以上の結果は随時学会講演会、論文等で発表した。
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