研究概要 |
1.水溶液のミストと大気圧プラズマを組み合わせた本方法の基本的な性質を把握するため,硝酸亜鉛水溶液を用いた酸化亜鉛薄膜の作製をおこない,以下のことがわかった。 (1)大気圧ヘリウムプラズマ(ガス温度は300℃以上と考えられる)を用いる場合には,基板温度が400℃以上で無配向性の酸化亜鉛膜が生成する。また,プラズマ管の内壁にも薄膜が生成する。 (2)大気圧ヘリウムプラズマの代わりに抵抗加熱炉(100〜300℃)を用いると粉体のみが生成する。 (3)ヘリウムプラズマも抵抗加熱炉も用いずに,ミストを含む室温の反応ガスを,大量に直接基板に吹き付けると,基板温度が300℃以上で毛糸を編んだような粗い網目状の薄膜が生成するが,生成膜の厚さは反応時間を長くしても0.1μm以上にはならない。 プラズマは,プラズマ中での粒子の成長を抑制する機能を持ち,基板に対するプラズマのエッチング効果のため,基板温度はある程度高くないと薄膜が生成しないものと考えられる。 2.多成分系材料として,ヘリウムプラズマあるいは抵抗加熱炉を用いて,鉄-亜鉛系の磁性膜の作製を試み,以下のことがわかった。 (1)ヘリウムプラズマを用いた場合には,基板温度が600℃以下では膜は生成しない。 (2)単に抵抗加熱炉を用いると粉体のみが生成する。 (3)ミストを含む室温の反応ガスを,大量に直接基板に吹き付けると,基板温度が300℃以上で薄膜が生成し,基板温度が600℃で鉄-亜鉛系フェライト膜が生成する(X線回折分析)。
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