本研究の目的は、機能性造影剤の開発とその音響的・流体力学的特性の解明、及び造影剤併用超音波可視化手法による欠陥分岐部の流れの解析を行なうことである。この造影剤は比重を調整した直径が数mumから数十mumの磁性体中空微粒子よりなり、静止流体中で分散させることができる、あるいは外部磁界により所定の部位に超音波でモニターしながら誘導することができるなどの機能を有するものである。 本年度の計画:本年度は主に泌尿器系を対象とする造影剤の開発とその特性の解明を行なった。この目的では、遅い流れを対象とするため、比重の調整と粒子単体で大きい反射信号を得ることが課題となる。そこで、磁性体中空微粒子を液体中に分散させ、比重と共鳴条件を次の様な方法で調べた。 方法:1.既設の医用超音波診断装置に新規購入予定の5MHz帯の超音波探触子を用いて、直径を精密に分級した直径が30〜100mumの中空微粒子に対する超音波の反射特性(共鳴周波数と直径との関係、散乱波の空間的分布特性)の測定を行なった。 2.超音波Bモード像上で、背景雑音に埋もれ造影剤の影像をコンピュータにより自動認識するアルゴリズム、およびその像に基づく速度の推定法を検討した。この課題については開発途中であり次年度も引き続き行なう。
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