研究課題/領域番号 |
05650058
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研究機関 | 桐蔭学園横浜大学 |
研究代表者 |
川久保 達之 桐蔭学園横浜大学, 工学部・一般教育等, 教授 (10016040)
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研究分担者 |
小林 貴 桐蔭学園横浜大学, 工学部・一般教育等, 助手 (50170329)
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キーワード | 流動性アクチュエータ / 界面活性剤 / 化学・機械エネルギー変換 / 車軸藻 / アクチン・ミオシン系 |
研究概要 |
本研究は生体における運動発現の現象を参考にしながら、化学反応の継続による化学エネルギーの機械エネルギーへの直接変換の可能性を探り、特に流体の運動を引き起こさせる流動性アクチュエータの実現を図ったものである。具体的には二つのテーマがあり、第一は車軸藻節間細胞内の原形質流動の機構解明であり、第二はある種の界面活性剤の水溶液と塩イオンを含むニトロベンゼンのような油との界面に発生する波動の伝搬とそれに伴う流動の解析である。 1.車軸藻節間細胞内の顆粒のランダムな運動の解析 淡水産の藻である車軸藻は太さが0.5mmφ、約5cm毎に節がある節間細胞と呼ばれる構造をもち、その中を原形質の流体が周回運動をしている。この流動の駆動力は細胞壁の内側の葉緑体に付着しているアクチンフィラメントと原形質内に浮遊する顆粒に付着しているミオシンとの相互作用によるものと考えられているが、その相互作用がどのようなものであるか、また何故それから方向性のある運動が生み出されるかは明らかでない。本研究では顕微鏡下での顆粒の運動をCCDカメラを通してビデオに録画し、その運動解析によりミオシン・アクチンの相互作用はランダムな衝撃力であり、それが方向性のある運動をもたらすのは、アクチン分子の異方的な配列によるものとの結論に達した。 2.界面活性剤による界面波動伝搬における化学・機械エネルギー変換 界面活性剤の水溶液とヨードのニトロベンゼン溶液の界面は、ある条件下で自励的に波動を形成し伝搬するが、このとき、波の伝搬に引きずられて水溶液がどのくらいの速さで回転しているかを知るために、水溶液中にラテックス粒子を分散させ、その運動をビデオカメラに撮り、ラテックス粒子の1/30秒毎の位置をプロットした。その結果、界面付近の運動は波打っており、そのドリフト速度は19mm/sであり自由表面付近での速度は10mm/sであった。また界面の運動は界面における界面活性剤とヨードとの周期的な反応に伴って起こる波動の伝搬に引きずられて誘起される現象であることが分かった。
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