研究概要 |
複数種のセルの組み合わせを考慮にいれた複合構造物の新しい設計思想・手法の確立のため、本研究は、その第一ステップとして、セルサイズが比較的一定で、2次元的広がりしか持たないアルミハニカムコアを用いて、その面内2方向の引張、圧縮試験およびを試み、また有限要素法による数値解析を行なった。得られた主な結果は以下のとおりである。 1.スライド式の特殊な実験治具を試作し、万能試験機取付けて実験を行なった。コアの圧縮試験から、コアのL方向の平均弾性率は、試験片の一辺に含まれるセル数Nが11以上であれば、試験片サイズにより影響を受けないが、N1012(≦)では、Nが小さくなるにともない、測定値は低下する傾向を示した。しかしながら、この方向と90℃の方向であるW方向の弾性率は、試験片サイズの影響をほとんど受けないことが明らかとなった。 2.変形中の写真から、平均的なポアソン比の変化の様子を調べた結果、引張試験では、L,Wのいずれ方向も変形の進行にともないほぼ直線的に増加し、平均ひずみが15%程度で変形初期の約1.5倍程度になる。一方、圧縮変形では、L,Wのいずれ方向も変形の進行にともないほぼ直線的に減少していくことが明らかとなった。 3.セル壁を矩形断面の梁と考え、2次元のラーメン構造モデルを作成し有限要素法による数値解析を行なった結果、圧縮試験における試験片の弾性変形を比較的よくシュミレートできた。今後は、セル壁の曲げ変形が弾性限を越えて塑性変形する場合にも適用できるよう計算手法の改良を行ないたいと考えている。
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