[1]コウスティック法によって測定された高速進展き裂の動的応力拡大係数を検証するために、光干渉法を用いた応力測定法を開発した。その結果、以下に示す結論を得た。 (1)光干渉法を用いることにより、PMMA中を数百m/sの高速で進行するき裂先端周辺の応力場を測定することが出来る。 (2)干渉縞の縞次数mの微計数∂m/∂rから、き裂の動的応力拡大係数を求めることが出来る。ここでrはき裂先端からの距離である。この方法は、き裂進行方向と成す角が|θ|<120°の範囲内であれば任意の角度で用いることが出来る。 (3)コウスティック法はθ=±72°方向の応力場から動的応力拡大係数を求めている。したがって光干渉法を用してθ=±72°方向の応力場を解析することにより、コウスティック法から得られる応力拡大係数を検証することが出来る。 [2]PMMA試験片中を約550m/sの速度で進展するき裂を用い、進展開始から18μs後と73μs後におけるき裂先端付近の応力場を、光干渉法を用いて調べた。その結果、以下に示す結論を得た。 (1)き裂進展開始から18μsの時刻において、θ=±72°の方向では、き裂先端応力場に高次項成分の影響が強く現れる。しかし73μsでは、高次項成分の影響はない。 (2)上記の結果は、コウスティック法から得られる測定結果と一致する。 (3)高速進展開始直後のき裂の動的応力拡大係数をコウスティック法で測定する場合には、測定結果の中に高次項成分の影響が現れる。このことは、光干渉法によっても確認された。
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