現在市販されている引張り試験機は小型のものでも測定範囲は5gf〜20kgfである。我々が合成したばね状窒化ケイ素とばね状カーボンファイバーの機械的特性を測定するためには、ファイバーの直径が小さいために5mgf〜100mgfの測定範囲が必要である。このような小さな荷重を加えながら、しかも荷重に対するばね状ファイバーの変形がビデオカメラを用いて、その場観察ができる試験方法を考案した。この方法は顕微鏡を傾斜させることにより、荷重として用いたカバーグラスが重力によりスライドグラス上を滑り始める。このときファイバーに徐々に力が加わり、傾斜角に対応してばね状ファイバーが伸びる。この測定結果からばね状ファイバーの機械特性を求める。 この方法により、将来複合強化材として有望な、新しく合成に成功したばね状ファイバーの機械特性を明らかにし、ファイバーの実用化に際しての基礎データーを得ることができる。 1.光学顕微鏡とビデオカメラを用いて、ばね状ファイバーの伸びのその場観察およびファイバーの機械的特性の測定 ばね状ファイバーの両端に適当なカーボンウィスカーを接着し、その一端をカバーグラス(荷重)に固定し、もう一方の端をスライドグラスの上に固定する。顕微鏡をのせた傾斜台をゆっくり傾斜させると、ばね状ファイバーの一端に徐々に力が加わり、伸び始める。この状態をビデオカメラに撮り、傾斜台の傾斜角とファイバーの伸びとの関係、及びファイバーの直径などの測定から破断強度・ひずみ・弾性率を求めた。 現在までの窒化ケイ素とカーボンのマイクロばね状ファイバーの合成に成功しているので、今後よりよいファイバーを効率よく得るための条件を検討する。
|