ポリマーの成分比率と周囲の環境条件によって相分離が生じる半相溶性のポリカーボネイト(PC)/ポリメチルメタクリルレート(PMMA)及びポリスチレン(PS)/スチレン・ブタジエンゴム共重合体(SBR)ポリマーアロイの相分離挙動について光透過法による透過率の変化とモルフォロジー及びDSCなどによって実験的に検討した結果、次のよう知見が得られた。 先ず、得られたPC/PMMAポリマーアロイの相図は下に凸の放物線を描き、この放物線の外側の温度・成分領域で、各成分ポリマーは相溶し、内側の温度・成分領域で分離するLSCT(Lower Critical Solution Temperature)型になることを実験的に明らかにした。これに対してPS/SBRポリマーアロイについては明らかにすることができなかった。さらに、これらのモルフォロジー、特にPS/PMMAポリマーアロイ(アセトンでPMMAをエッチング)のものは、分離前ではベースポリマー(PMMA)中に微細粒状の成分ポリマー(PC)が連結した状態で分散しているのに対して、分離後では一旦溶解されるため成分ポリマー(PC)は凝集して大きな粒状又はテトラポット状になって分散する。その結果、各種成分ポリマーアロイ試料の温度が相分離温度に達すると成分ポリマー微粒子が凝集して増大し、光の透過率は著しく減少することが分かった。さらに、これらポリマーアロイのガラス転移温度T_gは成分比率によって各ベースポリマーのT_gに近い2つのガラス転移温度を示す。一方、DSCによる比熱の場合も類似的な挙動を示した。また、このT_gは相分離すると分子量が減少するため分離前のものに比べて10〜20℃低くなることなどが分かった。
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