研究概要 |
前年度に引続きポリスチレン(PS)/ブタジエンゴム(BR)と結晶性のポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリプロピレン(PP)/ポリマーアロイの相分離挙動について検討した。 前者のPS/BRについては前年度のものを再検討するために行なった。 後者のPET/PPポリマーアロイの相分離挙動は結晶性であるため前回のものとはその挙動が異なり濁点温度ではなく光透過点温度(融点)を計測し、アニーリングによる相構造の変化と併せてモルフォロジーにより相分離挙動を検討した。さらに、引張特性、p-v-T特性及び圧縮率に及ぼす組成比の影響について検討した。 その結果、組成比ごと計測したPS/BRポリマーアロイの濁点温度による相図とPET/PPポリマーアロイの光透過温度による相図はバラツキが著しく明らかな相図とはならなかった。また、各種組成比のPET/PPポリマーアロイのp=0におけるv-T曲線はPET,PP自体のv-T曲線の間にある。 圧縮率は、組成比によって不規則に変化し、固体状態においてはPETの量が多くなるにつれて大きくなり、高温液状状態では小さくなることが分かった。 PET/PPポリマーアロイにおいてPET、PPそれぞれが成分ポリマーになっている場合のモルフォロジーは何れも2〜6μmの粒子状で分散し、その粒子径はPETのものが小さい。これらの粒子径はアニーリングにより微細化し、相構造が変化するため引張強度は1.2〜2倍高くなった。しかし、PC/PMMAとPS/BRポリマーアロイの場合はアニーリング効果は少なく、特にPS/BRにおいてはゴム成分(BR)の熱劣化が著しくアニーリング効果はないことなどを明らかにした。
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