研究概要 |
小型・高精度の立体形状部品を加工する最適加工技術としての超音波メカノケミカル加工に対する基礎試験を行い,以下を明らかにした. (1)超音波による液体の発熱を調べたところ,微少量の純水(2.5〜6g)に対し,30分の負荷時間で1.1〜0.4℃の温度上昇がみられた.これより工具周りの温度上昇を外挿すると26.1℃が推測される.なお,超音波の指向性を考慮すれば,工具真下の温度上昇はさらに高い. (2)超音波を液中で付加すると,放射圧と媒質自身の流れによる液体圧が発生する.ここで,放射圧は正圧,液体圧は負圧である.先端形状が球φ4.8mmの工具を被加工材から徐々に離して超音波付加したところ,ある距離で極大の負圧を観測した.超音波振幅を変化させるとこの極値の位置はずれた.負荷容量と超音波エネルギーは関連し,音圧レベルを変更した場合,負圧ピーク値の一負圧ピークの比と,振幅速度の2乗の比はある程度の一致がみられた. (3)表面性状が無擾乱と擾乱のシリコン試験片をNaOH水溶液でエッチングしたところ,エッチング速度,活性化エネルギーは擾乱試験片の方が,アルカリ度が高い方が大きかった. (4)(1)〜(3)の結果により超音波メカノケミカル加工モデルを提案することができ,加工諸現象を明確に説明した.
|