研究概要 |
生産システムを構成するCAD/CAM/FAの各要素システムが知能化処理を目指して研究開発が進められている現在、設計者の独自性を自動化の中に確立するための手法が要求されている。これに対して本研究は分散環境を測定した生産システムで、比較的自動化が遅れている組立を例として知的処理を導入した強調設計生産システムを提案し、一部のシステム化を実現してきた。それらの成果は以下のようにまとめられる。 (1)設計意図モデリングシステムとコミュニケーションシステム 設計者の組立に対する意図をモデル化する手法を提案し、幾何形状モデラと結合して設計者間あるいは生産現場とコミュニケートするシステムを試作した。これによりCAD/CAMの調和をはかった設計作業が実現される。 (2)現場でのフレキシビリティ向上のための作業設計支援システム 生産現場ではエラーや故障その他の変動要因が多発するが、これに対する処理をCAD/CAMをはじめとする上流システムに要求していたので時間的制約からフレキシイリティを得られない。そこで変動に動的に対応するために、組立支援用運動シミュレータを開発し、幾何形状モデラと結合した。同時に作業設計に必要な現場指向の制御手法を取り込む枠組を開発し、現場でフレキシブルに作業設計が行えるシステムを試作した。設計からの意図を参考にして現場指向の作業設計を行うことでCAD/CAM/FAシステムが統合化され、かつ分散処理されるようになった。 統合化組立システム環境の開発 機械製品で不可欠な形状のモデラ、設計者の設計意図のモデラ、それらを結合して作成する設計対象モデルのコミュニケーション・システム、運動シミュレータ及び作業設計支援システムを統合するソフトウェア環境を作成し、そのうえに各システムを実現した。これを用いることで分散製造環境でのCAD,CAM,FA夫々の局所的最適化を認めた上で、統合システム全体での調和型の全最適へ向上させることが可能となった。
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