昨年度は、楕円形状の回転子を高精度にラップ仕上し、マイクロメータヘッドを用いて駆動しようとしたが巧く行かなかった。原因として圧電素子を用いて微動移動させようとする場合の接触部および回転軸の摩擦の影響が大きい。摩擦の少ない超小型軸受を工夫するのは難しい。 本年度は、動作原理を根本的に考え直した。軸受は使用せずアクチュエータとして圧電素子の衝撃力を用いることとした。 インパクト駆動機構は(1)摺動面上に摩擦力で保持されている移動体(2)慣性力を発生させる質量(3)移動体と質量を繋げている圧電素子で構成される。この圧電素子をゆっくり伸ばした後急激に縮めると慣性力と摩擦力の大小により圧電素子伸縮方向に微小量だけ移動する。急激に伸ばした後ゆっくり縮めると逆方向に移動する。 ここでは、4つのインパクト駆動機構を一体にまとめることで平面3自由度(XYΓ)インパクト駆動機構を開発した。圧電素子の駆動波形を適宜制御することにより、 位置決め分解能 Y方向:0.05μm Y方向:0.05μm Γ方向:0.6arcsec を得た。さらに運動誤差の減少を試み、 X方向の直動±25μmに対する運動誤差 X方向:0.03μm Γ方向:0.6arcsec Γ方向回転角±250arcsecに対する運動誤差 X方向:0.03μm Y方向:0.03μm を得た。
|