高速・高分解能のレーザ差動干渉法を圧縮波の非定常境界層内の微小な密度測定に適用する。本年度の研究では、まず一本のレーザービームを用い非定常境界層の層流から乱流への遷移現象を解明する。本研究によって得られた研究成果は次の通りである。 1.現有の衝撃波管の隔膜部に本研究室で開発したゲート型急速開口バルブを取り付け、広範囲の強さや波面の幅を持つ圧縮波を発生させることができた。その結果バルブ板の運動は作動室の圧力で決まり、作動圧力が大きい程開口時間は減少し、一定値に漸近する傾向があり、圧縮波の形成距離はほぼ管経の12倍程度であることがわかった。また、形成された圧縮波の圧力上昇値、波面の最大圧力勾配および波面の長さと急速開口バルブの作動圧力や開口速度との関連を明らかにした。 現有の偏向レーザービーム干渉装置を改造し、標準大気密度の千分の1以上の高分解能及び伝播する圧縮波の密度の変化を検出できる高応答性を得ることができた。 3.本研究で作成した圧縮波発生装置を用いて圧縮波を管内に伝播させ、その背後に非定常境界層を発達させた。その非定常境界層内の微小密度変動を上記のレーザ差動干渉により測定した。 4.非定常境界層内の密度の時間変化測定より、境界層内の密度分布に密度の偏曲点が遷移開始点で、遷移領域の幅は圧縮波の強さが強くなると短くなる。また、波頭から遷移領域までの長さは、従来測定されている、弱い衝撃波の非定常境界層と比べて、2倍程度長いことがわかった。
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