前年度の研究により、圧縮波の非定常境界層の基本的な遷移現象が解明され、平成6年度は以下のような研究結果を得た。 (1)前年度の圧縮波により誘起される非定常境界層の測定結果と比較するために、衝撃波により誘起される非定常境界層を測定した。まず、薄膜破膜装置を作成し、現有の衝撃波管に取り付け、形成された衝撃波の圧力上昇値、と高圧室の初期圧力、薄膜材質及び厚さとの関連を明らかにした。 (2)衝撃波により誘起される非定常境界層を測定した結果と圧縮波により誘起される非定常境界層の測定結果と比較した。その結果非定常境界層に対する計測値は、衝撃波についても同様に成り立つことが分った。 (3)衝撃波背後の層流及び乱流の非定常境界層に対して、Mirelsの理論を用いて計算した。その計算結果は、層流、乱流ともに圧縮波の実測値とよく一致した。 (4)実験結果によれば、非定常境界層の遷移は壁面から始まる傾向があることが分った。また、波面の圧力勾配が大きくなると、境界層の遷移の始まりが早くなるが、遷移領域の移管幅にはあまり影響を与えないことが分った。 (5)圧縮波の遷移レイノルズ数は圧縮波の強さが大きくなるにつれてわずかに増加する傾向がある。これは圧縮波の立ち上がり時間の影響であると考えられる。 (6)非定常境界層内の密度の流れ方向の密度差を測定し、その波形の周波数解析を行うことにより境界層の遷移を検出できることが分った。
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