研究概要 |
1.現有の衝撃波管の隔膜部に本研究室で開発したゲート型急速開口バルブを取り付け,広範囲の強さや波面の幅を持つ圧縮波を発生させることができた。その結果、形成された圧縮波の圧力上昇値、波面の最大圧力勾配および波面の長さと急速開口バルブの作動圧力や開口速度との関連を明らかにした。 2.現有の偏向レーザービーム干渉装置を改造し、標準大気密度の千分の1以上の高分解能及び伝播する圧縮波の密度の変化を検出できる高応答性を得ることができた。 3.本研究で作成した圧縮波発生装置を用いて圧縮波を管内に伝播させ、その背後に非定常境界層を発達させた。その非定常境界層内の微小密度変動を上記のレーザ差動干渉法により測定した。 4.非定常境界層内の密度の時間変化測定より、境界層内の密度分布に密度の偏曲点が遷移開始点で、遷移領域の幅は圧縮波の強さが強くなると短くなる。また、波頭から遷移領域までの長さは、従来測定されている、弱い衝撃波の非定常境界層と比べて、2倍程度長いことがわかった。 5.衝撃波背後の層流及び乱流の非定常境界層に対して、Mirelsの理論を用いて計算した。その計算結果は、層流、乱流ともに圧縮波の実測値とよく一致した。 6.圧縮波の非定常境界層の遷移は波面の圧力勾配が大きくなると、境界層の遷移の始まりが早くなるが、遷移領域の時間幅にはあまり影響を与えないことが分った。 7.圧縮波の遷移レイノルズ数は圧縮波の強さが大きくなるにつれてわずかに増加する傾向がある。これは圧縮波の立ち上がり時間の影響であると考えられる。 8.非定常境界層内の密度の流れ方向の密度差を測定し、その波形の周波数解析を行うことにより境界層の遷移を検出できることが分った。
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