磁性流体に作用する磁気力の変化によって誘起される磁性流体液柱の運動を流体運動の駆動源とするための基礎研究として、モデル管内の液柱の運動について実験的ならびに理論的な検討を行った。得たる結果を要約すると次のようになる。 (1)磁性流体を希釈することなく原液のまま用いることにより、これまでよりも大きな駆動力が得られ、低い磁場でも十分に大きな液柱変位が得られることを明らかにした。 (2)変動磁場を大きくするとより大きな液柱変位が得られる可能性はあるが、条件によっては被駆動液体との境界が分離し、被駆動液体部に十分な変位を伝達できなくなる場合もあることを明らかにした。 また、装置の小型化と省電力化の観点から、磁性流体に磁場を印加するソレノイドを小型化し、断面積の変化に基づく損失を考慮する必要がない内径が一様なU字管内の液柱運動について検討を行った結果より、 (3)損失を小さくすると小さな変動磁場でも大きな変位が得られるが、変位が大きな場合には乱れも減衰せず、変位波形に乱れが残ったままになる場合もあることを明らかにした。したがって、滑らかな変位波形を得るにはある程度の適切な抵抗も必要であると考えられる。 (4)磁性流体液柱長さを短くしたことにより、最大の変位振幅が得られる振動数は従来のモデル管のほぼ2倍となった。 さらに、装置の小型化に伴い液柱運動に及ぼす影響が大きくなると考えられる管内磁性流体の表面張力についての毛管現象を利用した測定から、 (5)磁性流体液柱の表面張力の管軸方向成分は、印加する磁場の強さが増大すると減少するようになることを明らかにした。
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