本研究は半導体集積回路素子等の洗浄に関するものである。半導体素子等に付着している0.01〜0.1mumのいわゆるサブミクロンサイズの汚染微粒子を周囲の流れにより除去する際の最適な方法を流体力学的に検討することを目的とする。この問題は次の3つに大別される。第一は汚染微粒子の素子表面への付着力を調べることである。第二は表面に付着した微粒子を周囲からの流れと表面に直交する吸い込み管により吸い上げる方法を開発することである。第三は流れの中での微粒子群の運動を解析する方法を開発することである。 まず、本科研費で購入した純水と超純水製造装置並びに遠心分離器により微粒子の壁面への付着力を調べた結果、微粒子の付着力は直径1mumで約1×10^<-イ>dyne程度であることが確認された。そこで、簡単のため微粒子形状を球形として問題を広い平板上に設置したテフロン球を平板に直交して設置された各種形状の吸い込み管により吸い上げる問題にモデル化して実験を行なった。実験では球に作用する吸い上げ力、平板並びに球周囲の圧力分布を測定し、流れを可視化して検討した。その結果、平板に平行な断面の単純な吸い込み管では吸い込み管入り口を球に接近させなくては球に作用する吸い上げ力は非常に小さいが、平板と45°をなす断面の吸い込み管では吸い上げ力が改善されることを明らかにした(研究発表欄論文1)。更に、吸い込み管を二重円管として外管から流れを吹き出し、内管から流れを吸い込む形式にすると球の吸い上げ力が格段に改善されることを明らかにした(論文準備中)。なお、第三の問題に対しては流れの中での球群の低Re数(Re数は流れと球との相対速度を代表速度として定義)での運動の新しい解析手法としてそれぞれの球の作るオゼーン速度場の重ねあわせによって球群の運動方程式を構築する方法を開発した(研究発表欄・論文2)。
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