研究概要 |
本年度は,さらに強い高速の圧縮性渦輪を生成し,2つの渦輪が正面衝突していく時の流れ場の様子を,シャドウグラフ法と偏光レーザ干渉法によって調べた。 生成渦輪は背後に流れを伴っている。ノズル内の衝撃波マッハ数が1.34と強い場合,背後の流れには渦輪とノズル出口を結んで斜め衝撃波が形成され,それはX型に変形し進行するが次第に弱くなる。流れと外気との間には剪断層が観測され,これはケルビン・ヘルムホルツの不安定によって巻上がり,次々に小さな渦輪が形成される。これらの渦輪には合体現象が観測される。後ろの渦輪は小さくなって急速度で前の渦輪の中に入る。両渦輪が接近すると,両渦核を結んで衝撃波が形成される。この生成の機構は,数値シミュレーションの圧力分布,超音速等マッハ線図や音速線図などの結果の考察から,超音速ラバールノズル内の流れと同じ機構によるものと考えられる。渦輪が接近するにつれて渦線は波打ちはじめる。この不安定波は接触状態になる前はクリア-に観測でき,レイノルズ数が高いほどその振幅は小さく波の数は多い。接触後渦線は互いに絡み合い,正面衝突では半径方向に大きく伸びて次第に消滅していく。シャドウグラフに見られる波の軌跡は,放射音の測定結果との比較から,渦線の絡まり合いなどによって渦度が大きく変化して生じた音と考えられる。 ウォラストンプリズムを用いて干渉縞を作り,観測する方法を工夫した。この干渉法では,両渦輪間に圧縮によって生じる衝撃波などは良く観測できるが,渦の巻込や渦核などはシャドウグラフのように明瞭に観測できない。圧縮性乱流中のshockletの観測などに使用すると有効であろう。
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