傾斜機能材料は、金属、セラミックス、繊維などのマイクロエレメントを構造制御し、機能を傾斜的に分布させたものである。また、層状試料は、基盤物質の上に種々の層を積み上げた電子部品をはじめ機械部品など随所にみられる。これら層状および傾斜機能材料の熱移動特性を解析するには熱物性値データを知ることが必須条件である。 本研究は、層状試料および傾斜機能材料に対し、パルス状加熱およびステップ状加熱の非定常熱拡散率測定法を適用する方法を開発すること、さらに、逆問題解決の糸口を見出すことによって、創成された材料の熱的評価手法を確立することを目的として研究を行い次のような成果を得た。 1.層状試料の非定常温度応答において、実際の実験条件に近い境界条件に対する解析解を求めた。つまり、試料表面を任意加熱分布を持って加熱し、試料各表面からそれぞれ熱損失を持つ場合の非定常温度応答の解を導出した。 2.レーザフラッシュ法によって熱拡散率を測定し、理論解と比較検討した。 3.試料表面の温度応答から内部の物性値分布を推定する逆問題を解く糸口を見い出した。
|