研究概要 |
平成5年度は、鉛直加熱壁に沿う自然対流の制御を対象とした実験および理論的解析を行った. 1.実験は二次元的対流の場合を想定し,作動流体を空気とした高さ1110〔mm〕×幅220〔mm〕×奥行き200〔mm〕の試験層に置かれた加熱壁に対し,熱放出・熱除去の作用をもたせた熱スクリーンをこの加熱壁に平行に設置し,熱スクリーンの温度レベルおよび設置位置が,系内の自然対流の境界層の温度分布および熱伝達特性にどう影響するか熱画像装置を用いた可視化ならびに熱電対による温度測定を行った.可視化実験から温度境界層は,熱スクリーンを設置しない場合と比較して熱スクリーン温度レベルが境界層外の周囲温度に近づくほど薄くなり,加熱壁の温度に近づくほど厚くなることが観察された.これと対応して熱伝達特性は,熱スクリーン温度レベルが境界層外の周囲温度に近づくほど伝熱は促進され,加熱壁の温度に近づくほど抑制されていること,またこれらの伝熱促進・抑制の効果は熱スクリーン設置位置を加熱壁に近づけるに従ってより顕著になることが実験的に明らかにされた. 2.熱スクリーンの熱的効果に関する二次元定常数値解析の結果においても,実験結果同様の熱スクリーンによる対流および熱伝達の促進ならびに抑制効果が明らかとなった.すなわち熱スクリーンの熱的効果が境界層への吸い込み温度あるいは境界層離脱流体温度に影響し,浮力の変化がもたらされ対流の加速ないし減速作用が生じていることが確認された. 以上の実験および理論的解析から,境界層型の流れに対し熱放出・熱除去の作用をもたせた熱スクリーン設置すれば,熱スクリーンの温度均一化作用により,対流系の温度分布が変化し,対流制御が可能となること,またその際のスクリーン位置,スクリーン温度レベルの影響が明らかにされた.
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