研究概要 |
平成6年度は,線熱源プルームの制御を対象とした実験および理論的解析を行った. 1.実験は二次元対流の場合を想定し,作動流体を空気とした直径0.5mm,長さ150mmの白金線の上方に熱放出・熱抽出の作用をもたせた熱スクリーンを設置し,マッハツェンダーを用いて可視化を行った.可視化実験から線熱源プルームの構造は,熱スクリーンの透過率が小さいと線熱源プルームの構造は大きく変形し,スクリーンの熱的影響も大きくなること,逆に透過率が大きくなると変形の程度とスクリーンの熱的影響は小さくなることが観察された.またスクリーンの温度レベルを変化させると,プルームの振動を抑制または促進させる効果が観察された. 2.次に,スクリーンの上方のプルーム内における熱電対による温度測定を行った.それによると,熱スクリーンが系内に閉じて外部熱源との接触がない場合と熱スクリーンを外部熱源と接触させて熱スクリーンに熱放出・熱抽出の作用をもたせた場合を比較すると,熱スクリーンの透過率が小さい場合,スクリーンの熱抽出効果により温度分布がかなりの程度に一様化される.しかし熱スクリーンの透過率が大きい場合,一様化の程度は小さくなることが明らかにされた. 3.熱スクリーンの熱的効果に関する二次元数値解析の結果において,スクリーンの透過率の変化によって熱抽出量が変化することが明らかにされた.また,プルームの構造についても流体とスクリーンとの体積熱伝達率や透過率によってその構造は変化する. 4.以上の実験および数値解析から,線熱源プルーム上に熱抽出・熱抽出の作用をもたせた熱スクリーンを設置した場合,スクリーンの熱抽出作用によってプルーム幅の拡大・縮小等のプルーム構造に変化をもたらし,かつプルームの振動を抑制または促進させることができこと,またその際のスクリーンの透過率,スクリーンの温度レベルの影響が明らかになった.
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