高性能液膜式吸収器の開発の基礎研究として、鉛直面を流下する水の液膜に二次元波を形成させ、ガス吸収の促進を試みた。 液膜の供給部に脈動を与えることにより、波間距離の等しい規則的な二次元波を形成することができた(図1)。レイノルズ数Re<20では波の周波数と共にガス吸収速度は減少し、一方Re>20では増加した(図2)。二次元波による吸収促進(Sh_<max>)は、Reとともに増加し、Re>50では波のない液膜(Sh_s)と比較して2.5倍程度に達した(図3)。 これらの結果を基に、液膜表面波によるガス吸収促進についての新しいモデルを構築し、2.5倍にも達する大きな吸収促進の機構を説明した。これは、1960年代以降の重要なトピックであった問題に一つの解答を与えるものである。また、高性能液膜式吸収気の開発において、基礎的知見となるものである。 以上の内容は、文献1、2として国内で発表済みであり、現在両者の内容とも英文誌に投稿中である。 また、副次的な成果として、液膜流動の可視化法も開発した(文献3、4)。
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