吸収器などの液膜表面に発生する波は、ガス吸収速度を促進することが知られている。本研究では、液膜供給部に脈動を与えることにより二次元波を形成させ、吸収速度の促進と制御を行うとともに波の運動特性を明らかにした。脈動周波数10〜30Hzの範囲で、同じ周波数の二次元波を形成させることが可能で、同時に大きな吸収促進が得られた。 波の速度あるいは、波のピークの高さは波長、流量、および動粘度の関数とに表された。波のピーク高さは、波の速度に強く依存して変化し、波の速度の1.25乗に比例した。また波の速度は波の体積の0.5乗に比例して変化した。これらの結果は、波が互いに孤立して運動していることを示している。 レイノルズ数Re<20では波の周波数f_wの増加と共にガス吸収速度は減少し、Re>20では逆の傾向を示した。最大の吸収促進はレイノルズ数Reと共に増加し、Re>50で波のない平滑な液膜の吸収速度の2.5倍に達し飽和した。これらの結果を基に、二重の境界層の概念と波による境界層のスィーピングの概念からなる物質移動モデルを構成した。このモデルは本実験の測定結果をよく説明することを確認した。
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