研究概要 |
メチルアルコール程度の表面張力を持った液体は、電子機器などの沸騰冷却を考慮した場合の非導電性液体のフロロカーボン等があげられるほか、冷凍機などへの応用も考えられる。また、表面張力が小さいことは、発生する気泡径も小さく、さらに伝熱面と液体との固液接触においても濡れやすいなど、水とは違った結果になると予想された。そこで、本年度は、前年度の供試液体を水で行った実験結果を参考にしながら、表面張力が大気圧飽和温度において水の約1/3のメチルアルコールを用いて前年度と同様の実験装置で研究を行った。その結果として以下のことが明らかとなった。 (1)ピッチ7.7mm,穴径1.5mmの単一穴径を設けた多孔干渉板の伝熱面との隙間を変化させた場合、隙間が小さいほど低過熱度で沸騰を開始し熱流束も高くなっている。さらに穴径を0.75mmと小さくした場合には気泡が干渉板と伝熱面との間に充満してしまい気液交換がスムーズに行えず伝熱面にドライパッチが生じ熱流束は高くならない。しかし、穴径0.75mmでもピッチを3.85mmとしてやることにより高い熱流束を低過熱度で得られるようになる。 (2)穴径1.5mm,ピッチ7.7mmの穴と穴径0.75mm,ピッチ3.85mmの穴を組み合わせた場合、穴を組み合わせたことによりスムーズな気液交換が得られしかも低過熱度域で高い熱流束が得られた。また、多孔干渉板が隙間0.05mmと伝熱面に近づくことは、伝熱面近傍に発生する過熱液層に干渉板が接触することとなり、干渉板の穴加工した部分などが気泡発生の核となることも低過熱度で沸騰を開始する一因であると考えられる。 (3)メチルアルコールの場合は水と比較してオーバーシュート等もみられず安定した沸騰を示す。 (4)表面張力が異なる液体でも多孔干渉板の穴径、ピッチ、隙間を変えることにより低過熱度で高熱流束が得られる。
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