研究概要 |
トランスピュータやワークステーション・クラスタを用いた並列化によって,伝熱数値シミュレーションの計算手段の拡張,計算の高速化を目的とした.トランスピュータを用いた並列計算は,低並列度の専用並列計算機に対応し,ワークステーション・クラスタによる並列計算は,各ノードの構成を自由に設定できる汎用並列計算機に対応する.伝熱数値シミュレーションの基礎であり最も計算時間を用するポアソン方程式を対照とし,領域分割法による並列化を行なった.まず,トランスピュータによる並列計算とワークステーション・クラスタを用いた並列計算との比較検討を行った.数値解析手法としてSOR法(加速緩和法),レッドブラックSOR法,ICCG法(前処理付き共役勾配法)を速度向上率や計算効率により比較し,並列計算に適した解法は,レッドブラックSOR法,ICCG法であることを見いだした.さらに比較の対象として,高並列計算機AP-1000を用いてレッドブラックSOR法によりポアソン方程式を解き,並列化の計算効率に及ぼす格子点数やセル数の影響,最適緩和係数について調べた.今後は,ワークステーション・クラスタを用いた並列計算を中心にして,トランスピュータや高並列計算機AP-1000のような専用並列計算機とは異なる並列計算上の問題点を見いだす.
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