1)測定範囲 試料:綿わた、ウールわた 温度範囲:15〜50℃(吸湿、設定湿度100%) 5〜50℃(放湿、設定湿度 0%) 代表的な吸湿素材で、親水性(綿)のものと疎水性(ウール)のものを選んだ。温度範囲の下限と上限の近くは、湿度発生器の性能と、断熱の困難さから、数値の正確さは劣る。 2)放湿速度 単一のプロセスで、ほとんど一次遅れ応答と見て良い。放湿速度は温度が高いほど速くなる。吸湿速度と併せて考えると、拡散律速と予想される。 3)吸湿速度 2段階のプロセスと見るべきである。拡散律速と思われる第1段と、もっと遅い第2段階とで成り立っている。第1段階の速度は放湿速度の半分程であるが、両者とも温度依存性の特徴から、水分の分圧への関連を思わせる。拡散に密接な現象を予想させる。 4)綿とウールの差異 現状では、はっきりした差は見られない。第1近似としては、素材の差は無いと見て良いかもしれない。 5)今後の展開 完全に乾いた試料の吸湿、完全に吸湿した試料の放湿という条件で測定を行った。若干乾いている試料の吸湿、若干湿っている試料の放湿、あるいはその繰り返し(これが実際に繊維が使われる状況である)を、本研究の結果で推測できることを確かめ、実際の状況につかえるようにする。
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