研究概要 |
(1)幾何学的アプローチと呼ばれる制御系設計手法をセルフセンシング磁気軸受に適用し,つぎのことを理論的に示した. (1)セルフセンシング磁気軸受では自動的にゼロパワー制御が実現される. (2)不つり合い補償を行うことができる. (2)基礎実験装置を用いて(1)の理論的な結果を実証した.なお,この基礎実験では,電磁石としては珪素鋼板を積層したものを用いた. (3)さらに実験によって,セルフセンシング磁気軸受が荷重変動に対してはロバストであることを実験的に示した.また,(1)の性質から,台車に静的な荷重が作用しても,電磁石励磁用アンプが飽和することがないので,通常の磁気軸受に比べてより大きな荷重を支持できることがわかった. (4)不つり合い補償の実験から,軸受から土台に伝達する振動を非常に小さくできるので,高速回転体の支持に使用できるとの知見を得た. (5)搬送装置を設計するにあたって,電磁石のコアーに使用する磁性材料について検討を行った.具体的には,(1)珪素鋼板を積層したもの(積層形)(2)一般構造用鋼から削り出たもの(ソリッド形)について,基礎的な1自由度モデルを用いて磁気特性を調べた.その結果,後者では渦電流の影響で,励磁電流と磁束との間に位相遅れが生じることがわかった. (6)ソリッド形コアーを用いた場合でもセルフセンシングによる磁気浮上が可能であることを理論的に示し,1自由度モデルで実験を行っている. (7)購入した高速ディジタル信号処理システムは,上記の実験に使用した.
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