研究概要 |
2つの剛円板とそれをつなぐ細い軸からなり,空気タービンによって駆動される実験装置を作成し,振動測定を行った.一方の円板に取り付けられている動吸振器は複数の半径方向羽根によって仕切られた中空円筒容器からなっている.この容器に液体を部分的に満たし,液体の運動によってねじり振動を吸振する.本年度,新たに2から8に分割された動吸振器を用いて,回転速度の1倍および2倍の加振トルクが加わる系について,動吸振器内の液体の波動をストロボスコープとカメラによる写真撮影によって観察した.まず全ての分割数に対する液体量の同調条件を調べ,全ての分割数について同調条件は異なるが,ねじり振動に対して動吸振器が有効に働くことを確認した.ついで,制振時と非制振時における振動と動吸振器内の波動の関係を実験的に検討した. その結果,加振振動数が回転速度に等しいときには液面の運動が進行波的であることを確認した.これは本ねじり動吸振器の大きな特徴といえる.さらに,同調条件が満たされている場合には,回転体のねじり振動は非常に小さいのに対し,波動は大きく通常の液体を利用した動吸振器によく似ていることを明らかにした.理論解析ではこれまで無視してきた,コリオリ力を考慮して解析を行い,定量的にも実験結果とよく一致する結果を得た.これから,観察された波動の珍しい特徴はコリオリ力が原因であることを明らかにした.加振振動数が回転速度の整数倍の場合については,励振トルクが大きいことから,表面波の運動は定在波的にも,進行波的にもならない.これは励振により発生する表面波の波高が高く非線形性が強く現れているためと考えられるが,この現象の解明は今後の課題である.
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