研究概要 |
本研究では,導電体に沿って複数の磁気浮上体が存在する場合に,問題となる隣接浮上体間の磁気連成を調べるため,誘導反発形磁気浮上装置を試作して浮上および加振実験を行った.この装置はアルミ材の回転円盤上に、永久磁石と電磁石で構成した1自由度振動系の浮上体を二体配置した構造となっている.実験条件は回転円盤の周速を時速30〜100kmの範囲とし,浮上体間距離を0.15〜0.35mの間とした.まず,静特性を調べるため円盤の回転速度を一定にして,前後浮上体間距離を変化させて,後部浮上体の浮上空隙を測定した.浮上体の磁極は,前後で同極とした場合と,異極とした場合で行った.この結果によると,前後の磁極を同極とした時には,浮上体間距離を近付けるにつれて後部浮上体の浮上空隙が小さくなることがわかった.一方,磁極を前後で異極とた場合には,両浮上体が近づくにつれて後部浮上体の浮上ギャップが大きくなることが明らかになった.次に,振動時の前部から後部への磁気連成振動を調べるため,前部の電磁石のみに外乱電流を与えて,加振実験を行った.この結果によると,前部浮上体はほぼ単純な減衰自由振動波形であるが,後部は外乱が入力されていないにもかかわらず応答を示した.この現象は前部磁石との磁気の影響による連成振動である.さらに,後部にはうなりの現象がみられる.これは,単体では前後の浮上体の固有振動数が同値であるが,二体にした場合には磁気干渉により後部の等価磁気ばね定数が変化し,これにともなって固有振動数が変化するためである. 以上の静特性と動特性の実験より,導体上の浮上体が接近する場合には磁気連成現象を生じることが確認された.
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