研究概要 |
本年度は,前後磁石の浮上力,磁気連成力のみでなく磁気抗力の影響も調べるため,誘導反発形磁気浮上装置を改良して浮上および加振実験を行った.この装置はアルミ材の回転円盤上に,上下運動とピッチ運動をする2自由度の浮上体を配置した.浮上体の前後には,永久磁石と電磁石が取り付けられている.まず,円盤の回転速度を一定として浮上体の静特性を調べた.浮上体の磁極は,前後で同極とした場合と,異極とした場合で行った.この結果によると,上下1自由度運動する浮上体を前後に独立に配置した場合(昨年度)と異なり,両極性の場合とも後部浮上空隙間が前部浮上空隙より大きくなっている.これは,浮上体を台車構造としたため磁気連成力のほかに磁気抗力が大きく影響しているためである.次に磁気浮上系の減衰特性を向上させるため,電磁石電流を最適レギュレータ理論を用いて制御する実験を行った.制御は前後独立に行う分散制御方式とした.この結果によると,電磁石電流の制御により減衰力が大きくなり,磁気連成に影響されずに制振性能が大幅に向上することが明らかになった.さらに,浮上体の姿勢を水平に保つため,前後浮上空隙の差の積分補償を付加した制御実験を行った.この結果,電磁力の直接制御により浮上体の姿勢をほぼ水平に保つことが可能であることが確認された. 以上の静特性と動特性の実験より,磁気抗力が浮上体に大きな影響を与えている.また,磁石間の磁気連成が生じている場合でも,振動特性は電磁力制御により大幅に向上することが明らかになった.
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