研究概要 |
本研究は,空気ダンパを内蔵した動吸振器によって機械・構造物の振動制御を行うことを目的として始めたものである.この空気ダンパに関する研究は非常に少なく,特に空気ダンパを動吸振器として設計するための式は皆無であった.平成5年度はこの空気ダンパを動吸振器としてではなく,通常の減衰器として設計する場合の設計式を導いた.引き続いて平成6年度は,空気ダンパを動吸振器として設計する場合の設計式を導くことから研究に着手した.空気ダンパはピストンの振動数によってその減衰係数が著しく変化し,さらに動的な力に対しては復元力も作用するので,空気ダンパを含む動吸振器の設計にはこれまで報告されている動吸振器の式は使えない.今回新たに導出した式は,空気ダンパのこのような減衰係数やばね定数の周波数特性も考慮されており,非常に簡単な式で最適な動吸振器が設計できるという特徴を有している.現在この研究成果を日本機械学会で発表すべく準備を進めている.さらに,精度の高い動吸振器を製作するためには主系に含まれる減衰を考慮しなければならず,その影響を考慮した簡易設計式を導出し,すでに日本機械学会で報告している.また,今回導出した設計式に従って空気ダンパを内蔵した動吸振器を現在製作中であり,その実験結果を待って最終の報告書を作成したいと考えている.
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