研究課題/領域番号 |
05650242
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
下郷 太郎 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (30051147)
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研究分担者 |
押野谷 康雄 東海大学, 工学部, 講師 (70233533)
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キーワード | Active Mass Damper / Rotor / Vibration Control / Optimal Control / Hybrid Magnet |
研究概要 |
本研究は、回転機械における回転体の振動を、磁気反発力を用いた非接触型動吸振器によって抑制する方法の開発を目的としたものである。これは回転体の周辺に接着した永久磁石と、回転軸に直角な2方向の両端に配置したハイブリッド磁石(永久磁石にコイルを巻いた電磁石)との間に作用する磁力を制御して、回転体の振動を抑制するものであり、吸振器質量としてのハイブリッド磁石はスライダによって半径方向にガイドされている。回転体と吸振器の運動を検出してデイジタルフィードバック制御を行うが、その制御則は、線形化した制御対象モデルに最適制御理論を適用して決定した。制御対象の固有値その他のパラメータは以下に述べるような実験によって調べて、磁力の非線形性を考慮したモデルについて数値シミュレイションを行い、制御性能を確認した。 (1)回転体の固有振動数と減衰比は自由振動を検出して調べた。(2)吸振器のそれらは回転体を固定して、永久磁石のみによる自由振動を検出して調べた。このとき動吸振器としての同調を取るため、磁極間の平衡距離を調整した。(3)永久磁石の磁化の強さは磁極間の磁気ばね定数をクーロンの式に当てはめて決定した。(4)電磁石コイルの有効インダクタンスは、回転体を固定して電磁石に電流を通したときの吸振器の変位から計算される磁力を用いて調べた。(5)コイルの全インダクタンスおよび漏れインダクタンスは、電磁石にステップ入力電圧を加えたときの応答電流から調べた。(6)電磁石に生ずる逆起電力係数は上記(2)の自由振動の検出に際して、コイルを短絡した場合としない場合とに分けて減衰比を調べることによって決定した。 回転機実験の結果、つぎのようなことが明らかにされた。永久磁石のみを用いる受動的制御によって、回転体の危険速度における振動は十分に抑制されるが、その前後に二つの新たな共振ピークが現われる。これらはハイブリッド磁石によって抑制され、回転速度の広い範囲にわたって制御効果が発揮された。特に低回転速度における共振のピーク値は約60%低くなり、電磁力利用ハイブリッドマスダンパによって、回転体の振動は効果的に抑制されることが示された。問題点の一つは、吸振機がスライダによってガイドされる点であり、その取付けの調整をさらに簡単にするため、スライダ部分を磁気浮上の機構に改善することを今後の課題として考えている。
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