操縦者が危険ポテンシャル空間を前方視野に設定して、これを用い操縦を行うと云う仮定のもとに人間・自動車系の解析を行ったところ、実際の人間の制御動作を非常に良く表現していることが明らかとなった。そこでこの危険ポテンシャル空間をどのようなアルゴリズムにより構築するかについて検討を行った。この手法としては、まず道路端からある距離をおいて走行している操縦者の瞬時心拍数をこの距離をパラメータとする変化率として示した。若干のばらつきはあるものの、この結果により路端に近づくにしたがいこの値が指数関数的に増大することが明らかとなった。次に道路幅を変化したコースを5種類設定し、これらのコースを走行する場合の人間の制御動作を計測し、道路幅に対するハンドル角ゲインを計算した。これにより、道路幅が狭い場合、人間は操舵ゲインを増加させ、即応性を増していることが明らかとなった。そこでこれを道路端からの距離として整理したところ、操舵ゲインは道路端へ近づくに従い指数関数的に増大することが明らかとなった。これらより、人間の危険感覚を表現する瞬時心拍数の変化率が、道路端からの距離に対する操舵ゲインの傾向と一致したことになり、本研究における危険ポテンシャル空間の設定とこれを用いた制御動作アルゴリズムの妥当性が検証されたものと考えられる。なお、この操舵ゲインの計算は一次予測モデルによる近似により行った。
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