都市内などの我々の生活環境では、移動すべき場所のほとんどが平坦地であり、最も大きな障害となるものは段差である。この段差が移動ロボットのみならず車椅子などの福祉機器において大きな問題となっている。本研究では、基本的には車輪型の高速走行という利点を持ったまま、ほとんど機構的に段差を乗り越えることのできる回転足機構を提案し研究してきている。本年度は、回転足機構の研究の一環として実用化の可能性の検証のため実用サイズの移動機構の設計試作を行った。 本年度は試作機の大型化にともない以下のような改良を加えた。 (1)強度強化の為の中心軸の両持ち化 (2)軽量化の為の足の数の減少化 今回試作した走行機構を用いて、平坦地走行実験、段差乗り越え実験により、動作の確認を行った。本機は、1段当りの高さ15cm、奥行き35cm、段差数3の段階の乗り越えが可能であった。このことにより、本走行機械はより実用性の高いものになっていることがわかった。次年度以降は、本体の構造の強化を行うこと、シートやキャリア等の搭載、サスペンション機構の搭載により本体の上下動の抑制をすること、センサによって自動的に段差に対応する回転足モードに切り替える制御などを行う予定である。 なお、本年度の結果については平成6年度日本ロボット学会講演会にて発表する予定である。
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