研究概要 |
本研究の新しい提案としての高周波電磁推進ユニットを製作した。その高周波電源として、共振形高周波インバータに関して、高周波電磁推進ユニットの駆動におけるサージやノイズを防止する観点から、新方式のソフトスイッチング技術を開発し、適用を試みた。数値特性解析に基づく回路の実設計を行い、高周波電磁推進ユニットの水槽実験を実施した。従来方式の直流通電との比較実験において、海水通電0〜10〔A〕における流速,推力を計測し、システムの評価、検討を行った。その結果、従来方式では異常に水素,塩素ガスが発生したのに対して、本方式では、ほとんどガスの発生並びに電蝕の問題はなかった。引き続き、パワアップ,最適周波数の検討及び電磁推進ユニットの改良を検討した。鉄心は、フェライトをブロツク状に組むより、けい素鋼板を成層した一体形の鉄心の方が磁束密度も高くなるので、これを採用し、炭素板電極も、ステンレスに変えて新しい電磁推進ユニットを製作した。高周波電源に関しても、ソフトスイッチングとしての零電流スイッチング(ZCS)の動作領域を広げ、安定動作を確保するために回路的に改良を加え、転流重複現象を利用した全く新しい回路トポロジーの高周波インバータを開発した。無次元化パラメータを導入したその回路の特性解析結果と模擬負荷による実験に基づき、電磁推進ユニットの高周波電源を試設計した。海水水槽内の電磁推進ユニットに、異なる周波数の高周波電源を通電して、噴出流の計測及び電源システムのスイッチング動作波形を観測した結果、前年度より速い流速の安定動作が可能となった。同一の出力電流では、周波数の高い方が流速が大きく、50Hz通電時のような発生ガスの問題もない事が明らかとなった。しかし、周波数を高くする程、入力電圧を高くしなければならないという問題も明らかとなり、今後はさらに、最適周波数と動作領域を検討する予定である。
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