研究概要 |
物理現象のシミュレーション結果や本来不可視なものを可視化するための種々の可視化法が必要とされている.著者らは既に,スカラ量やベクトル量のステレオ可視化を行うための等高線表示,複数断面の疑似カラー表示や矢線によるベクトル表示法を開発し,その有用性を示してきた.本年度の科学研究費において,この可視化システムをより有効なものにするために,次の可視化法を開発した. (1)分布ベクトルの密度に比例した流線表示法:ベクトルを観察する場合,その大きさと方向,軌跡を同時に観察可能な方法が望まれる.これを実現するのが流線のステレオ表示である.このとき分布物理量の密度に比例した流線を発生することにより,観察者は物理現象の把握がより理解しやすくなる.本研究では,任意に指定した表示空間の切断面上において分布物理量に比例して流線出発点を自動発生すると共に,流線を自動生成する方法を開発し,有用な手法であることを確認した. (2)任意切断面の密度分布の疑似カラー表示法の開発:従来表示空間のXY,YZ,ZX平面に平行な切断面の疑似カラー表示法は既に開発ずみである.本年度,観察者が任意に指定した切断面の疑似カラー表示法を開発した.このとき任意切断面の指定方法が一般に困難であるが,本研究において,ユーザーインターフェースの優れた方法を開発した. (3)高速表示のためのデータ構造の開発:計算結果ばかりでなく実験結果も含めたあらゆる物理データの可視化を行うために,汎用性の高いデータ構造として,3次元格子を用い,さらの曲面の表示を可能にするキューブコンフィギュレーション法を開発した.
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