一様電界形成用電極はこれまで多数提案されているが、その相違点を総合的に比較し、さらに電極かどの電界を評価するための三次元計算法を開発した。その結果、以下のことがわかった。 1.高電圧工学レーザー工学で用いられる10種類の一様電界形成用電極について、電荷重畳法を用いて数値計算で比較した。回転対称配置の瑞部の電界はすべて中心の値より大きく、その最大電界は2次元配置より常に大きくなる。このことに関して電気学会論文誌に2件投稿中である。 2.正方形、長方形電極のかどの電界を計算するため、円孤電荷配置の電荷重畳法を用いた三次元電界計算法を開発した。正方形電極の場合、最大電界は対角線上に生じ、この最大電界はどの(局所的な)回転半径と等しい回転対称配置の電界に近い。長方形電極も、かどの形状が同じなら最大電界は正方形とほとんど同じである。なお、電極かどの三次元計算法に関して電気学会論文誌に発表した。 次に実際のChang型電極をベースとした3個のエキシマレーザー用電極形状について、電界の数値計算と実験とを比較した。その結果、以下のことがわかった。 1.XeClエキシマレーザーの場合、電極表面電界は電極瑞部で大きな電界上昇を生じるが、放電は電極中心で起きる。これはTownsendの電離係数alphaの電気力線に沿う線積分である電子贈倍の関係により、電子なだれからストリーマに移行する電圧が中心により端に行くに従って大きくなるからである。 2.レーザーのビーム幅は最大電界よりはむしろ平均電界に対応し、中心の約98%の平均電界に対応している。
|