研究概要 |
桜島・雲仙・阿蘇の火山灰について,鉱物成分とイオン成分の分析をおこない,比電導度との関係について調査・検討を行なった。その結果,つぎのことが明らかになった。 1.桜島・雲仙・阿蘇の火山灰の鉱物成分は,酸化珪素(SiO_2)がその大半を占めており,ついでAl_2O_3,CaO,Fe_2O_3,Na_20_2,K_2O,MgO,SO_3,Clの順となっている。この中で事故に最も関わりがあると考えられるのは,三酸化硫黄(SO_3),塩素(Cl)、三酸化鉄(Fe_2O_3)である。成分の大半を占める酸化珪素についてその割合は,雲仙:桜島:阿蘇=1.45:1.3:1,つぎにSO_3は,阿蘇:桜島:雲仙=62:10:1,Clは,阿蘇:桜島:雲仙=32:16:1,そしてFe_2O_3については,阿蘇:桜島:雲仙=2:1.5:1の順となった。SO_3とClは,水に非常に溶け易く,水(雨水)にあうと溶けだして硫酸イオンと塩素イオンになり,比電導度に大きく影響するものと考えられる。 2.比電導度に最も関係あると思われる塩素イオンと硫酸イオン成分の分析結果は,塩素イオンの割合は,阿蘇:桜島:雲仙=23:3:1,また硫酸イオンは,阿蘇:桜島:雲仙=68:10:1となった。これらの結果は,すでに行なってきた通電特性試験,比電導度,粘性試験の結果との間に相関がみられ,三酸化硫黄,塩素,三酸化鉄の含有量の多いほど比電導度が高く,そのため配電線の漏れ電流が増大し事故が発生し易い。実際に,配電線事故が阿蘇・桜島・雲仙の順で大きかったが,その理由を説明づけることができる。 課題である火山灰の電気的特性と配電線への影響に関する研究は,順調に進んでおり,現在、当初平成6年度に計画していた耐張がいしの漏れ電流特性の基礎実験を前倒しで行なっている。
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